このページは福井県立大学の田中求之が2006年1月まで運用していた Mac のサーバ運用に関する会議室 「Web Scripter's Meeting」の記録です。情報が古くなっている可能性がありますのでご注意ください。

Desktop Interface から Aqua Interface へ

発言者:田中求之
( Date Monday, April 16, 2001 23:02:43 )


今年度の前期の外書購読(専門の英語文献を購読する授業)で Apple の 
Human Interface Guideline (初版)を取り上げて、これの Philosophy の部
分を読みながら、インターフェースについて考えていこうというのをやります。

授業でこの文献を使うのは初めてなので、昨日から、改めて、久しぶりにじっ
くりと腰を落ち着けて読み返しているのですが、今、改めて読むと、なかなか
新鮮だし、本質的な考え方は間違っていないと思います。

で、ふと思い立って、Apple が出した、インターフェースのガイドラインの原
理的な説明の部分を比較してみました(こういう文献調査って文系のお得意だ
からね)。

Apple は、これまでに、3つのインターフェースのガイドラインを出していま
す。

一つ目は、冒頭でも述べたもので

Human Interface Guidelines: The Apple Desktop Interface

続いて、PowerMac 登場後の Inside Mac 再編の中で出た、

Macintosh Human Interface Guidelines

そして、OS X をにらんで公開された

The Aqua Human Interface Guidelines

この3つになります。3つめの Aqua 版は、まだ草稿版しか公開されていません。


最初のものに Macintosh の文字がないのは、この当時は Macintosh だけでは
なく、Apple II の方にも Desktop インターフェースを採用しており、その両
方の原理とガイドラインを説明したものになっているためです。もっとも、中
身は実質的には Macintosh のインターフェースに則しています。ただし、最初
の Mac のインターフェースですから、現在の MacOS とは、かなり違ったもの
なんですけどね。

2番目のものが System 7 以降の状況でのインターフェースについてのガイド
ラインで、多言語やカラーについての言及があります。

で、3つめはいうまでもなく OS X のものです。

で、細い実装に関する部分が異なるのは当然として、インターフェースの原理
(Philosophy あるいは Principles )の説明の部分を読み較べてみると、少し
ずつ記述が変化してきているのがわかります。

最初の版の中で「コンピュータのデザインと人間の行動は、伴って進歩してい
かなければならない」と述べているのですが、まさに状況に合わせて、イン
ターフェースのデザインの原理にも変化が生じているのがわかります。

こまかな記述の考察などは省きますが(いずれ気が向いたら、ドキュメントで
も書いて公開します)、Aqua 版になって決定的な違いが生じます。それは、こ
の時点で、Desktop メタファーを完全に捨てているということです。2番目ま
での版では、Desktop メタファーが、ある意味で、インターフェースの中心的
なモデルとして位置づけられています。最初の版のタイトルなどは、モロそれ
を謳っています。で、Aqua 版になると Desktop メタファーへの言及は無くな
ります。書きかけということもあるのでしょうが、2番目の版から Desktop メ
タファーへに言及を削ってまとめたものが Aqua 版といえる。

原理とその実装は異なります。ですから、アップルのインターフェースに関す
る哲学を実装したものが Desktop メタファーのインターフェースでなければな
らないということはありません。しかし、Macintosh OS においては、デスクトッ
プという世界の中で、いかに「コンピュータを使いたいのではなく、仕事を片
づけたいだけの普通の人」を快適にするかという視点が、疑うことの出来ない
原点としてあったと思います。

それをとっぱらって、一般的な原理を抜きだし、それを Aqua として実装する。
Desktop を取っ払った時にどうなるのか…

個人的には、最初の版を Aqua への批判として読んだとき、今の OS X が、ど
こまでちゃんと反論できるかは疑問だと思っています。

デスクトップ さんからのコメント
( Tuesday, April 17, 2001 22:37:10 )

>>Apple は、これまでに、3つのインターフェースのガイドラインを出していま
>>す。

Mac OS 8 ヒューマンインタフェースガイドライン
なんちゅうのもあったと思います。

Macintosh Human Interface Guidelinesの補足だから、
こんなの数に入れてたら、他のこまごましたのもいれなくちゃならなくなって、
収集がつかないですか(^^)。

>>Desktop メタファーを完全に捨てているということです。

メタファーとしてのデスクトップは消えてしまいましたが、
デスクトップという言葉はその定義をかえて存続していますね。
Mac OS 9.x 以前のシングルユーザー環境とマルチユーザー環境、
あるいは Mac OS X においてデスクトップというもの(言葉?)が、
どのように取り扱われるかの解説もアップルから出ていたと思います。


>>個人的には、最初の版を Aqua への批判として読んだとき、今の OS X が、ど
>>こまでちゃんと反論できるかは疑問だと思っています。

「普通の人」ですら、デスクトップメタファーを取り除いても
仕事が片付けられるくらいに、コンピューターが一般的になってきたと
(少なくともアップルは)判断したのでしょう。